メールマガジン最新号「会社にコネプラを導入したい! 一筋縄ではいかない挑戦」

森が燃えていました
森の生きものたちは われ先にと 逃げて いきました
でもクリキンディという名の
ハチドリだけは いったりきたり
口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは
火の上に落としていきます
動物たちがそれを見て
「そんなことをして いったい何になるんだ」
といって笑います
クリキンディはこう答えました

「私は、私にできることをしているだけ」 

(出典:「ハチドリのひとしずく」 辻 信一監修 光文社刊 2005年)

これは、南米のアンデス地方に伝わる話を明治学院大学国際学部教授で、環境=文化NGOナマケモノ倶楽部主宰の辻信一さんが訳した短いお話です。

ここに出てくる、燃える森は、深刻化する一方である環境問題をさしている、または、閉塞感が増し凄惨な事件が増している人間社会をさしているとも言われています。

最近で言えば、アマゾンの火災や、京都アニメーションの放火事件を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。

これらの出来事を前に、私たちは「無力さ」を感じさせられます。

けれど、ハートは、本当に「無力だ」と言っているのでしょうか。

今回、ご紹介するラスール、西村さんのお話をうかがい、今一度、そのことを考えてみたいとおもいました。

【ラスールインタビュー 西村 隆志さん】

「会社にコネプラを導入したい!一筋縄ではいかない挑戦」

長い年月をかけて、多くの人の手をかけて作り上げられてきたシステムの中で過ごしていると、そこに何か新しいものを取り入れたいと思うとき、何かを変えたいと願うときに、とても手に負えないと圧倒されたり、無力さを感じてしまうことがある。

コネクション・プラクティス(以下、コネプラ)は、2004年に創始者であるリタ・マリー・ジョンソンがコスタリカで教えはじめ、日本に入ってきたのは、2014年。まだ、比較的「新しいもの」だと言えるだろう。

今回、インタビューをさせていただいた西村さんは、製薬メーカーに就職し、35年以上勤務。
さらに、現在、再雇用として、従業員の安全や健康の管理など、労働安全衛生に関する業務に関わっている。仕事では、ハラスメントや、入社間もない社員のミスマッチ等の相談なども受付け、メンタルヘルスに関わることも多いことから、西村さんは、定年後にキャリアカウンセラーの資格も習得した。

しかし、心理の勉強を深めるほどに、「自分とは何なのか?」という問いが、人生の岐路を目前とした西村さんに襲い掛かってきたのだという。

西村さんは、九州でカトリックを信仰する両親の元に生まれ、「愛」の教え、そして「献身」ということを教えられて育ってきた。
「自分のことをおいても、まず、人のこと」「自分は後回し」
「献身」という言葉は、幼い西村さんの心に「自己犠牲」と似た、苦しさを抱えたままインプットされてしまう。

「自分のためより、人のため」と強く思い、行動してきた西村さんは、自己開示が苦手だった。
しかし、キャリアカウンセラー仲間から、紹介され、初めて体験した、コネプラの世界が、西村さんに大きな変化をもたらした。

まず、自然と自己開示ができるようになった。そして、自己共感、感情とニーズという言葉を使うことで、「愛」の教えとして、受け入れてきた「献身」が、愛を表現するひとつの「手段」にすぎないことに気が付いた。

「自分を活かして、相手を活かす」
「相手のことを大事にしながら、自分のことも大事にする」

そう、気が付けたことは、西村さんにとって、大きな変化だったという。

「自分がこんなに変われたなら、同じように、定年を目前にして、やりたいことがわからない人や、自分にはこの仕事が向いてないんじゃないかと悩む若手社員などの役に立つのではないか」という思いで、西村さんは、2018年にラスール(認定コーチ)になる。

「社内セミナーをやろう」

一事業として、コネプラを導入しようと考えていたが、なかなか、重役の理解を得られず、難航する。朝のMTGに、さりげなくコヒーランスを取り入れることはあっても、強引に推し進めることはできない。コネプラが、せっかくいいものなのに、拒絶されてしまっては、もったいないと感じていたからだ。

これまでの社内での立場などを使って、強引に進めてもできないこともなかったが、西村さんは、コネプラが本物であるからこそ、丁寧に伝えていきたいという思いが強かった。

考えても、考えても、前に進めない。

いつしか、西村さんは「自分の思いを実現するためには、会社を辞めて、よそでやるしかない」と思うようになっていた。

そんな中、開かれたラスールの琵琶湖での合宿で、西村さんは「ハチドリのひとしずく」を思い出した。それは、西村さんがラスールになるとき、最後の面接で、自ら口にしたキーワードだった。

「そうだ! ハチドリのように自分にできることをやるだけでいいんだ」

そう気づき、まず、自分の身の回りに理解者を増やすために、職場の上司に掛け合った。長年、職務を共にしてきた仲間でもある上司は、それを快く受け入れ、「小グループで地道にやってみてはどうか」と提案してくれた。そして、業務として取り入れるために、西村さんに企画立案を依頼してくれた。

10数年前、労働安全衛生に関する部署に異動してきたときも、周囲の関心は薄く、重要視もされておらず、安全衛生委員の委員と言えば、適当に若手社員が選出されてくるような状態だった。けれど、西村さんたちが、現場の依頼事を丁寧にひとつずつ対応していくうちに、必要性を認識され、今では、会社にとってなくてはならない部署となり、幹部クラスも真剣に安全衛生に取り組むようになった。

今、少子高齢化を迎え、会社では、徐々に人材確保が難しくなってきている。

これまでは、「それなりに」働いていれば、よかったかもしれない。けれど、働き手が少なくなっている今、ひとりひとりが、いかにして、自分の能力を活かし、生産性をあげることができるかが、問われている。

「ハチドリのひとしずく」に登場するハチドリのクリキンディは、最も小さきものの象徴として、一人一人の小さい力も、合わせれば、大きな力になることを教えてくれている。「自分にできることをする」と一歩を踏み出した西村さんが、今後、どのようにコネプラを伝えていくのか、そして、それが、会社組織という土壌の中で、どのように育っていくのかが、楽しみだ。

西村 隆志(にしむら たかし)

コネクションプラクティス認定講師「ラスール」
鹿児島市生まれ。京都府宇治市在住。

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