【ラスールインタビュー】角崎祐美さん「子どもたちの毎日にコネプラで平和の芽を」

こんにちは。メルマガチームの真由美です。
この度、お話しを伺ったのは、今年の1月にラスールになったばかりのロロさんこと、広島県在住の角﨑祐美さんです。

現在、ラスールとして、コネクション・プラクティス(以下、コネプラ)の教育カリキュラム講師や、その講師育成中心に活躍されています。

今年の3月まで公立中学校で教師としてお勤めだった角崎さんが「子どもたちにコネプラを伝えたい!」と感じたのは、どういった背景があったからだったのでしょうか。また、8月に、教育関係者を対象にコネプラによる無料コーチング「コネクション・プラクティス フリーコーチングデー for educators」を企画・運営された経緯について、おうかがいしました。

子どもたちは、今、何を学びたいと思っているのか、
私たちは、何を子どもたちに伝えていきたいのか、

皆さんで一緒に考えていきましょう。


 2021年夏、その前の年とは状況が異なり、新型コロナ感染者の数が全国的に急増。夏休みが終わりを迎えるという8月の最終週には、「始業式の延期」「夏休みの延長」「予定通りの新学期開始」と地域ごと、学校ごとに判断・対応が異なり、多くの混乱が生じていました。

 そんな中、おそらく、教育現場に関わる人達にとっては「最後のお休み」であった8月22日(土)、23日(日)の2日間に、「子どもたちに携わる、あなたに贈る夏のギフト」として、教育関係者向けに[コネクション・プラクティス(以下、コネプラ)によるフリーコーチングfor educators]という、ラスール(コネプラ認定講師)による無料のコーチングセッションが行われました。

 参加者は、26名。その多くがコネプラ未経験者だったそうです。事後のアンケートには、21人が回答し、うち、18名が5段階評価中「5」の評価、その理由として「大変良かった」「感謝している」「自分の生活にとって有用なものだった」という声を寄せてくれたと言います。

 今回、このフリーコーチングを企画した角﨑祐美さんは、この3月まで公立中学校の教員として、中学生に英語を教えていました。2017年の冬、角崎さんは、様々な偶然からコネプラの入門講座を受け、初めて感情とニーズというNVC(非暴力コミュニケーション)の考え方、そして、コヒーランスに出会います。そして、すぐに「これは、面白い!」「子どもたちに伝えたい!!」と学びはじめ、2021年に自身もラスールとなりました。

 コネプラを学びながら、勤務する学校では、英語の授業として、感情とニーズの言葉を授業に取り入れたこともありました。例えば、通常の英会話だと、“How are you?(調子はどう?)”“I am fine.(調子いいよ)”で終わりがちなやり取りですが、そこに様々な感情のワードを子どもたちに教え“I’m relaxed.(リラックスしている)”とか“I’m upset.(イライラしている)”というようなやり取りをさせる授業。また、コヒーランスへの導入を、“What makes you happy?”という英語の表現にし、SVOC(主語/述語動詞/目的語/補語)の学習として、導入。「自分のハートをハッピーにさせるもの」について、英文で発表をするというような内容を中学3年生のクラスで実施したのだそうです。また、平和教育の一環として、英語で書かれた被爆者の手記を読み、その時の被爆者の感情とニーズ、そして、彼らに差別的な態度を取っていた人たちの感情とニーズを推測し、英語で説明するという宿題を出し、その取り組みについて、地元の新聞で取り上げられたこともありました。

▲Feeling(感情)とNeeds(ニーズ)について教える角崎さん(2017年秋)

 角崎さんは、当時の授業を振り返りながら「感情を覚えることで、子どもたちの心が豊かになります。例えば、授業の始めの挨拶のところで、“How are you?(調子はどう)” ‟I’m upset(イライラしている)“というやりとりがあれば、“Why are you upset?(どうして、イライラしているの)”とか、“What is important for you?(何が大事なのかな)”というやりとりをして、例えば“Acceptance is important.(受け入れてもらえることが大事でした)”みたいに言葉のカードを黒板に貼りながらやっていったんです。そうしたら、誰も「難しい」「嫌だ」なんて言う子もいなくて、楽しみながら授業が進められました。自分の感情を表す言葉が増えることでより豊かな自己表現ができることって大事だなと思いました」と子どもたちにとって自らの気持ちを言葉にできる喜びが学習へつながったことを教えてくれました。

 さらに、当時、子どもたち同士のいざこざが起こった時に、「つながりの調停(対立する二者につながりを取り戻す技法・コネプラパート3で学ぶ内容)」を使うことで本人同士が、この感情とニーズの言葉を使い解決することができたというのです。女の子の友達同士のトラブルで、一人の子が、頻繁にSNSで連絡をしてくる相手の子に対して「勉強の邪魔をしようとしている」と不満に思っていたのですが、お互いの感情とニーズを知ることで「相手は、邪魔をしようとしていたのではなくて、つながりたかったんだ」と知ることができ、気持ちが落ち着いたのだと言います。そうした現場を目の当たりにし、角崎さんの中で「これを、子どもたちに伝えたい」という思いが一層強くなったのだと言います。

 今回、夏に実施した教育関係者向けのフリーコーチングで、対象者を教育関係者に限定した背景には、「子どもたちに関わる仕事の方にこそ、コネプラの良さを知ってもらいたい、ファンになってもらいたい」という思いがあったという角崎さん。「子どもの時の色々なトラウマがトリガーになり、大人になってから様々な問題が起こることがあります。けれど、もし、子どものときから、そうした感情・ニーズに向き合う方法を知っていて、それ(トラウマ)をできるだけ早く取り除くことができたら、子どもたちは、ありのままで生きていくことが出来るのかなって思っているんです。もちろん、コネプラが万能なわけではないけれど、人生の中で、一つの大きな助けにはなるのではないかと、すごく思うのです」と言うその言葉には、人生を通して子どもたちと向き合いつづけている先生として、そして、親としての願いを感じました。

 その人の豊かな人生を誰にも奪わせない。角崎さんと話しながら、そんな言葉がふと頭に浮かびました。こうした願いが、広島の平和教育の中にもあり、角崎さんの心の奥底に熱く流れ続けているのではないかと感じました。

▲角崎さんが教える子ども向けカリキュラムでワークシートを記入した子ども

絵による表現なら、小さな子どもでもワークに取り組むことができます

 子どもたちにコネプラを伝えるため、角崎さんは、コネプラの子ども向けカリキュラムの普及にも積極的に取り組んでいます。今年2月からスタートした「教育カリキュラムコース」の説明会や講座を実施、また、実際に講師になった方が活動しやすいようにと、現在、オンラインや対面で子どもたちに教える実践を繰り返しながら、そのノウハウの蓄積に力を入れています。

教育現場、そして、そこで働く先生方の多忙さも熟知しながら、そうした中でも、コネプラを学び、子どもたちにどう伝えていってもらうためにはどうしたらいいかを、常に考え続けている角崎さん。コロナ禍で閉塞感のある教育現場において、「落ち着いたら…」「今は仕方ない」という考えは、現場の先生だけでなく、保護者や子どもたちの中にもあります。けれど、それらを全て承知の上でなお、「今こそ新しい挑戦が必要」だという角崎さんの言葉は、強く胸に響きました。

<インタビューを受けてくれたラス―ルの講座>

【教育カリキュラムコース(旧子ども向けカリキュラム講師コース)】

子どもたちにコネプラを伝える専用カリキュラムの講師になるための1DAYコースです。現在、子ども向けカリキュラム講師は、約40名! あなたも、ぜひ、ご参加ください

開催終了いたしました

日時: 2021年11月3日(水・祝)

時間:9:30 ~ 15:30

場所: オンライン(Zoom)